2026-03-03
北米・豪州委員会
当協会は2026年3月3日、豪州住宅産業協会(HIA: Housing Industry Association)と共催でオンラインセミナー「豪州住宅市場とTOD政策の動向セミナー」を開催しました。日英同時通訳付きで実施した本セミナーには、当協会会員企業や国交省から63名が参加し、オーストラリアの住宅市場と公共交通志向型都市開発政策に関する最新情報を共有しました。

能勢運営委員長の開会挨拶に続き、HIAのマネージングディレクターJocelyn Martin氏から「2026年における住宅供給のトップ3課題」と題した発表がありました。Martin氏は、オーストラリア住宅業界が煩雑な手続きによる生産性低下、労働力不足、業界への信頼性低下という3つの課題に直面していると説明。さらに環境法による土地利用の制約や建築基準の変更による建設コスト増(1戸あたり約3万ドル)が政府の掲げる120万戸の住宅供給目標達成を困難にしていると述べました。
HIAのチーフエコノミストTim Reardon氏は「オーストラリアの住宅市場の今後の展望と予測」を解説。土地価格の急騰(25年間で500%上昇)と労働コストの増加(115%)が制約要因となり、住宅供給は目標に20万戸不足する見通しだと指摘しました。一方で、パンデミック前と比べ2倍のペースで進む人口増加(海外からの移民流入)が強い需要を支えており、特にシドニー、メルボルン、ブリスベンに集中していると解説。地域ごとの動向として、クイーンズランド州では2032年オリンピックに向けて共同住宅が増加中、西オーストラリア州では鉱山業に支えられた市場が引き続き堅調、ニューサウスウェールズ州では地価の高さが参入障壁になっていると分析しました。
PropCode社のCEO Will Sullivan氏からは「ニューサウスウェールズ州における公共交通指向型開発(TOD)政策」について詳細な説明がありました。TODは駅周辺に住宅供給を集中させる政策で、「加速化地区」と「共通ルール適用エリア」の二種類が設定されています。加速化地区では40階以上の高層建築も可能、共通ルール適用エリアでは駅から400m圏内を対象に6階建て(22〜24m)の建物が建設可能となります。Sullivan氏は、低層・中層住宅改革とTODを組み合わせることで多様な住宅供給が促進されると指摘。事例として、シドニー南部のウォロンゴンやシドニー北部のニューキャッスルでの開発状況も紹介されました。

PropCode社のWill Sullivan氏
セミナー終了後のアンケートでは、参加者の90%が「満足」「とても満足」と回答しました。
当協会では、今後も海外の住宅市場や都市開発に関する有益な情報提供を継続してまいります。